写真:富田文雄/アフロ

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ベトナムのSNS規制、アジア各国の動き

2013.8.12 17:00

 アジア各国ではソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の規制をめぐって議論が再燃している。ベトナム政府は9月から、SNSなどでメディア報道や政府関連の情報を提供、交換することを禁じると発表した。ネット上において反政府的な発言を制限し、「私的な情報の提供と交換」に限定するという。中国でも、すべてのネットユーザーの実名登録を法律で定める動きがあり、国がSNSをどこまで規制できるのか、各国が注視している。

 ベトナムでは経済減速と官僚の汚職に対する国民の不満が高まり、政府は言論の抑圧を強めている。新たな規制は個人のTwitterとFacebook、ブログなどにおいて、「新聞」「通信社」「政府のウェブサイト」などから情報を転載、引用することを禁じ、「私的な情報の提供と交換」に限定するというものだ。さらにインターネット・プロバイダーにも「反ベトナム的で、安全保障や社会秩序、国の団結を脅かす情報」などの提供を禁じている。

 ベトナム政府のSNS規制に対し、ネット上には抗議と反発の声が広がり、各国メディアも今回の規制が「言論の自由」を抑圧し、人権の侵害になるとして疑問を投げかけている。


中国はネットユーザー5億人に実名登録義務化を検討

 ベトナムと同じく、中国もネット上における政府批判などを抑え込むため、国の監視・管理を強めている。中国ではTwitterやFacebookが規制されており、利用できない。その代わりにTwitter(140文字)とFacebook(画像や動画の投稿、その他の機能)の要素を併せ持つSNS「新浪微博(シナウェイボ)」の利用が進み、昨年末で5億アカウントを超えている。

 新浪微博は昨年から中国政府の方針に沿って、サービス利用時の「実名登録制」を導入している。誹謗中傷や詐欺行為などからネットユーザーを「保護する」という名目だが、実名登録によって個人が特定され、「言論の自由」が抑制されているというユーザーの声も多い。中国政府はさらに中国ネットユーザー5億人すべてに「実名登録」を義務付ける新たな法律制定を検討している。


韓国では「インターネット実名制」を違憲とする判断

 一方、お隣の韓国では昨年8月、実名登録を法的に義務付ける「インターネット実名制」に違憲判断が下されている。韓国では1日の平均利用者数が10万人以上のサイトの掲示板などを対象に、個人情報を登録しなければ書き込みをできないよう法律で定めていた。

 韓国憲法裁判所は「インターネット実名制」が「自由な意思表明を萎縮させる」と指摘し、表現の自由を制限するには「公益への効果が明確でなければならない」としている。

 ネット利用における「規制か自由か」の議論は今後も続くだろう。ただ、ベトナムのSNS規制、中国の実名登録化など、各国の事情である程度の規制、監視の動きはあっても、膨らみ続けるソーシャルメディアなどの発信情報は、国が統制できる規模を超えているように思えてならない。

Ryuichi

新聞記者、報道カメラマンなどを経てインターネットサービス、ポータルサービスの会社を転々とする。外資企業と国内企業を行き来して、国産オリジナルのWebサービスをいつか創り出そうと夢見ている。現職は何でも本部長。

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