相次ぐ炎上事件、問われる従業員対策

2013.9.6 11:30

 6月から8月にかけてTwitterやFacebookなどのSNS上では、コンビニエンスストアやスーパーなどの小売業、そしてチェーン展開する飲食業の従業員を中心に「炎上」と呼ばれる事例が相次ぎ、社会問題となっている。学生アルバイトを多く抱える業界、そして高等学校・大学などの教育機関にとっては、このような炎上を予防するための対策や、発生してしまった際の対応マニュアルを用意していくことが求められている。

炎上多発の年、解決の鍵はスマホネイティブ

 学生・アルバイトの炎上事例は毎日のように発生しており、特に7月以降に急増している。把握している件数だけでも1ヵ月半の間に20件を超えている。その炎上の中心にいるのは、コンビニ、ファーストフード、ファミリーレストランなど、高校生や大学生などのアルバイト店員を多く抱え、フランチャイズチェーン展開する業界が中心である。

 最近の炎上事件で特徴的なのは、①「模倣」事例が相次いでいること、②アルバイト店員だけではなく、「お客様」が炎上を引き起こす場合もあること、そして③「食品」絡みの「不衛生」炎上と呼べるケースが多いことだ。

 例えば、現在の炎上連鎖の引き金とも言える、コンビニエンスストアで発生した「アイスクリームケース」の炎上事例。店員がコンビニのアイスクリームケースに入った写真をソーシャルメディア上に投稿したものだが、その後アイスクリームケース関連の模倣から炎上が、スーパー、コンビニで数件発生している。

 また、直近では8月27日に寿司チェーン店で醤油さしに直接口をつけ、炎上した事例がある。その後4日間で「寿司チェーン、醤油さし」関連の炎上が2件発生していると同時に、これらの発端は全て「お客様」によるソーシャルメディア上への投稿だ。

小売・飲食業でのネット炎上事件例
発生年月日概要お店
2013/07/20実名で超有名サッカー選手が来た、とTwitter投稿、騒動コンビニエンスストア
2013/07/24アルバイト店員がアイスクリームケースの中に入りネット投稿、炎上コンビニエンスストア
2013/08/02店員が大量のバンズに寝そべる写真公開しネット投稿、炎上ハンバーガーチェーン
2013/08/03店員が冷蔵庫の中で寝る写真を公開しネット投稿、炎上お弁当屋チェーン
2013/08/05アルバイト店員が冷凍庫内のソーセージをくわえて投稿し、炎上ラーメン屋チェーン
2013/08/05店員がM字開脚して自分の股間をスキャンしている姿をネットに投稿し炎上コンビニエンスストア
2013/08/06店員が冷蔵庫に入り写真撮影し炎上、企業側謝罪ステーキチェーン
2013/08/13アルバイト大学生店員が商品を盗む犯罪を告白し炎上カフェ
2013/08/18アルバイト大学生店員がピザを顔につける姿を写真撮影で炎上ピザチェーン
2013/08/20客がアイスケースに入って撮影し投稿、店舗側は返金&商品撤去スーパーマーケット
2013/08/21アルバイト店員が友達と厨房で髪を洗っている写真を投稿し炎上スーパーマーケット
2013/08/21高校生がアイスケースに頭を突っ込んだ写真を投稿し炎上コンビニエンスストア
2013/08/22アイスケースにダイブした写真を投稿し炎上スーパーマーケット
2013/08/24お好み焼きのソース容器を鼻に突っ込み写真を投稿、炎上お好み焼き屋
2013/08/27醤油さしに直接口をつけた写真をTwitter投稿、炎上寿司チェーン
2013/08/29大量の髪の毛入りバーガーを提供?疑惑の声高まり炎上ハンバーガーチェーン
2013/08/30口に醤油さしを咥える彼氏の写真をTwitter上に投稿し炎上寿司チェーン
2013/08/30醤油さしを咥える男性の写真を投稿し炎上寿司チェーン
2013/08/30箸を耳や鼻の穴に突っ込む写真をTwitter上に投稿し炎上牛丼屋チェーン
2013/08/30店員が勤務中に廃棄商品を口に入れて撮影しTwitter投稿、炎上スーパーマーケット
2013/09/01高校サッカー部員がアイスケースに頭をつけお辞儀した写真を投稿し、炎上コンビニエンスストア
2013/09/02寿司にタバコを刺して回転台に流す写真を投稿し炎上寿司チェーン
2013/09/02食材で悪ふざけをする不衛生な内容の写真を投稿し炎上居酒屋チェーン

炎上により引き起こされるステークホルダーへの影響

 これら一連の炎上事件は、炎上させた本人・家族、企業、FC契約店舗、学校等影響範囲は大きい。炎上で引き起こされた各ステークホルダーへの影響は以下のようなものが考えられる。


【炎上させた従業員・学生】
  • 炎上させた本人や家族の氏名・学校・写真が特定され、ネット上でさらされる。
  • 本人は慌ててソーシャルメディアのアカウント(Twitter、Facebook、mixiなど)を削除する。
  • 影響を受けた企業側から警察側に被害届が出される。
  • 学校側からも、停学や退学などの処分検討となる。
  • 従業員解雇、かつ企業側から多額の損害賠償を求められるケースもある。

【企業、FC契約店舗側】
  • 不衛生等のイメージがつき、企業ブランドを傷つける。
  • アルバイトの行為について、企業ホームページ上でお詫び掲載。お客様による炎上事件でも、企業側が謝罪するケースも。
  • 企業側の謝罪が不十分または不適切だった場合に、その対応についてさらに二次炎上が発生する。
  • 関連した商品の回収及び返金。炎上で「不衛生」と判断された商品ケースなどの入れ替え作業。ネット上の情報だけではどこの店舗か把握できず「全店舗」の商品ケースや容器の洗浄・入れ替えを行わざるを得ないケースも発生している。
  • FC契約店舗は、フランチャイズ契約を解除される

対策を始める企業も

 1回の投稿が大きな影響を与えるケースが続出しており、店舗側もアルバイトの採用には慎重にならざるを得ない。店舗を束ねる企業側でも、これまでのアルバイトを含めた従業員の研修マニュアルに、ソーシャルメディア利用のガイドラインや教育教材を加えるなどの対応に迫られそうだ。実際、アルバイトや社員の炎上事件を受けて、対策を行う企業も出始めた。

 8月に店員によって不衛生なネット投稿がされたハンバーガーチェーンでは、炎上事件以降社内のSNSのガイドラインに損害賠償を請求する可能性を明記することとなった。また、度々アルバイト店員によって炎上事件が引き起こされているコンビニエンスチェーンでは、採用時の誓約書に、「不適切なSNS利用をしない」ことを追記している。また、ラーメンチェーンでは、グループ全店舗に社長からのビデオメッセージを配信するなどを行った。


 一連の炎上事件を振り返ってみると、このような若者を中心としたいたずら的な行動は過去にも少なからずあったに違いない。それが近年のソーシャルメディア浸透により、そのような行動が「可視化」されたにすぎない、それが実態かもしれない。

 ただ、企業にとって、「お客様」による炎上は防ぐことがなかなか難しいのも事実だ。長い目で見れば、対策だけでなく、教育機関を含めてソーシャルメディアを利用する人たちへのネットリテラシー向上、マナー徹底を促す試みも必要となっている。

参考:SNS炎上リスク教育コンテンツ

  :炎上多発の年、解決の鍵はスマホネイティブ

Yoshiyuki

企業のソーシャルメディア活用の立上げ・運用支援・分析をする傍ら、buzzoo.jpの運営を行う。大学時代に学んできた統計学・データマイニングの経験を活かし、将来は21世紀最もセクシーな職業を目指している。お酒大好き浦和っこ。

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