写真:アフロ

写真:アフロ

熱いツイートでユーザーの心をつかむNike Japan

2015.1.27 12:00

 ソーシャルメディア上のユーザーの「つぶやき」に対し、企業や組織が能動的にユーザーと対話を行う「アクティブコミュニケーション」(アクティブサポート)が日本でも少しずつ定着しつつある。大手携帯電話会社などが行っているサポート業務が最たるもので、日本国内で6,300万人の顧客を抱えるNTTドコモでは、お客様へのサポートの一環としてTwitter上で「ドコモ公式サポート」(@docomo_cs)を展開し、疑問や不満に関する「つぶやき」を収集、顧客の声にこたえている。

ドコモ公式サポートのTwitter タイムライン



 現状では、サービスサポートの分野で使われることが多いアクティブコミュニケーションだが、今回は変わった運用を行っているNike Japan(@nikejapan)を紹介したい。Nikeは、通常のスポーツ用品のほかにもiPhoneのGPS機能を活用したスポーツ記録ツール「Nike+」を展開するなど、デジタルとスポーツの融合に積極的な企業だが、Twitterなどのソーシャルメディアマーケティングの分野でも、そのユニークさが垣間見えている。


Nike Japanのツイートを分析してみる

 どのようなツイートが発信されているか、直近のツイート内容を分析し、多次元解析が可能なチャートを作成した。まず「投稿内容の種類」を見てみると、大きく4つに分けることができる。「JUST DO IT. SHOT」「JUST DO IT. リレー」はともに同名称のキャンペーンを行っていた時のツイートで、これはキャンペーンサイトと連動した自動投稿によるものだ。投稿内容も時期によって違うが、定型文のものが多い。「オーガニックツイート」は通常のTwitterの投稿で、主に企業メッセージを発信している。

種類内容
JUST DO IT. SHOT自動投稿。イベントサイトに写真を投稿するキャンペーン
JUST DO IT. リレー自動投稿。イベントサイト内で「成し遂げたい目標を宣言」し、フォロワーなどユーザーの友達と共有するキャンペーン (プレスリリース)
アクティブ
コミュニケーション
Twitter上のつぶやきに反応して企業アカウントからコミュニケーションを行う
オーガニックツイート企業メッセージのツイートなど

 特に注目したいのが「アクティブコミュニケーション」の投稿で、今回の調査期間内の17%程度のツイート量だが、Twitterユーザーの書込みや写真を読み、それぞれのつぶやきにあったメッセージを発している。

 アクティブコミュニケーションのツイートは、通常のツイートとは異なりソーシャルメディア特有の大規模な拡散は難しいが、適切な業務設計と運用を行えば、企業メッセージの発信をより強力なものにし、カスタマーロイヤルティを高めることが期待できる。Nike Japanの書込みでも「新しいシューズを手に入れた」などの自社製品に関するツイートの返答は、ユーザーが「お気に入り」や「リツイート」を多く行っている傾向がある。
 また、Nike Japanではユーザーが自社製品を使っているかわからないツイートにもコメントを行っている点が興味深い。製品を使用しているか否かに関わらず、まずはスポーツを行う人々に問いかけを行い、その楽しさや達成感を体感してもらう。そのうえで控えめながら(しかし積極的に)Nikeブランドを知ってもらっている印象を受ける。



Nike Japan (@nikejapan)

件中 件を選択中 | すべてリセット

タイムスケール

投稿内容の種類

投稿時間帯

投稿曜日

出現名詞

出現動詞

Tweet例 (日時降順)

日付投稿内容(主な動詞/名詞)Fav数RT数

 ツイートの本文も独特だ。「アクティブコミュニケーション」の投稿内容に絞って、よく使われる名詞をみてみると「気持ち」「練習」「自身」「努力」「成長」「ジブン」など、一般的な企業アカウントではあまり使用されない単語が上位に位置している。動詞にも目を向けると「重ねる」「挑む」「ぶつける」「高まる」などが多い。日本国内の企業のツイートは、「ですます」調や、ネットスラングを多用したやわらかい表現が使われることが多々あるが、Nike Japanでは「企業とユーザー」という単純な関係ではなく「あなたのパートナー」であるというメッセージを伝えるために、より「ユーザーに近い位置で語りかける」表現をしているのかもしれない。


顧客満足度の向上と潜在顧客の発掘の両立

 Nike Japanのアクティブコミュニケーションから読み取れるのは、「スポーツを行う人々に対して、そのチャレンジ精神を応援するツイート」が多いことがわかった。これはNikeの「JUST DO IT.」という企業メッセージに密接に合致しているように感じる。アクティブコミュニケーションの効果は「既存顧客のCS(顧客満足度)の向上」や「潜在顧客の発掘」などが期待できるが、Nike Japanではこの両方をとらえるべく、スポーツを行っている「街中のアスリート」をツイートによって応援したり、キャンペーンサイトとの連携により、スポーツ仲間を呼び寄せる仕組みをつくるなど、スポーツ市場を広げつつ、自社アピールを行う効果的なマーケティングを行っているようだ。

保科 雄太

1981年生まれ。本サイトではサイトコーディングやデザインなどを担当。データビジュアライゼーションの勉強中。甘いものとお酒が大好き。

コメント